またもや億万長者救済!?
From:ジム・リカーズ
金融界は、シリコンバレー銀行(SVB)の破綻に揺れている。
まずはこれまでの流れを見てみよう。
3月10日、同銀行は突然閉鎖され、一部の預金はブリッジバンクへ移管された。これは規制当局が管理する銀行のことである。大口の預金を一掃し、銀行資産の売却と債権者への返済を徐々に開始したのだ。
そして3月12日、SVBの預金者全員を保護するというビッグニュースが飛び込んできた。米財務省などがルールを破ってその場しのぎで緊急処置を行ったという。
銀行の預金保護は、1口座当たり25万ドル。それ以上の金額を預けたい場合は、追加で口座を開設する必要がある。そうでなければ、超過分は保護対象外となってしまう。
ところが、SVBでは90%以上の預金が保護金額を上回っていた。つまり、ほとんどの企業は、銀行の破綻を考えておらず、リスク分散を行っていなかったのだ。
例えば、ストリーミング会社のRoku(ロク)はSVBに4億8,700万ドルの預金を保有していた。
本来であれば、この4億ドル以上は全て保護対象外である。
しかし、例外的に米国は預金者の保護を行うことを決めた。
基本的なリスク管理を怠っていたにもかかわらず、なぜか救われたのだ。
一体なぜだろうか?
ウォールストリート・ジャーナル紙の論説で、起業家(大統領候補)のビベック・ラマスワミ氏は、この問題の核心に切り込んでいる。
彼の分析はこうだ。
救済措置は、リスクの高い行動をとるインセンティブを生み出す。なぜなら、大口預金者は、分散投資やデューデリジェンスなしに銀行に資金を預けてもよいと考えるようになるからだ。
これまで財務省は米国政府による特別な介入は必要ないと主張し、リスク制限を緩めるように働きかけてきた。破綻しても、他銀行への波及効果がないとみていたからだ。しかし、3月12日には一転…SVBを「システム上、重要な金融機関」であると見なした。
またもや富が集中する
バイデン大統領とイエレン財務長官は、預金者を保護するために税金が使われていないため、これは救済ではないと述べている。確かに技術的には、その通りだ。
少し専門的にはなるが、資金は預金保険基金から調達される。大手銀行は、最終的に特別賦課金が課されることで、その費用を負担することになる。
しかし、だからといって、一般の人々が保護のための費用を負担しないわけではない。銀行は、特別賦課金の追加費用を銀行手数料の値上げという形で顧客に転嫁するだけである。
これは、まさに詐欺のようなものだ。このようにして、一部の富裕層は優遇され、その他仰勢の国民はいつも損をする。
ジャネット・イエレン財務長官とバイデン大統領は、今後も「救済措置でない」と主張し続けるだろう。しかし、これは明らかな救済措置である。
そして、この話は一過性のものではない。必ず波及すると見ている。
SVB破綻の波紋は数か月は続くだろう。銀行システムや資本市場のような複雑なシステムにおける正確な予測は不可能だ。しかし何かしらの影響が発生することは確かである。
黒い部分も今後どんどんとリークされていくことだろう。SVBのトップインサイダーは、今回の開示に先立ち、1月から2月にかけてSVB株を数百万ドル売却したと報じられている。トップインサイダーはこの事態を予見していたのだろうか?
そのインサイダーの一人は、サンフランシスコ連邦準備銀行の役員。彼の名前は3月10日、連邦準備銀行(FRB)のウェブサイトから突然消えた。これは、FRB幹部によるさらなるインサイダー取引なのか?
これは急速に進んでいる話であり、あらゆる段階で報告するつもりだ。
P.S.
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