【ゴールド特集②】なぜ世界の大富豪・政府は「ドル」を手放し、"金"を買うのか?
先週ご案内したこちらの記事『ゴールド特集:なぜ今「金」が買われているのか?』はもうご覧になりましたか?
もしまだのようでしたら、ぜひこちらからご覧ください。
先週の記事では、金が危機やインフレに強い「優れた安全資産」であるというお話をしました。
実際、これは過去9回の金融危機における株式と金のパフォーマンスを比較した表です。9回のうち8回の危機において、金が株式を大きく上回っていることが分かりますね。
例えば、リーマンショック。当時、株式市場は約56%下落した一方で、金は25%上昇しました。株式で100万円を持っていたら、半分以下の44万円に。金で持っていれば、125万円の価値になったということです。
金が優れた安全資産であることはすでにご存知かもしれません。そして今、投資家が「金」を持つ意味はどんどんと大きくなっているようです。
実際、世界の大富豪たちは、こんなことを言っています。
一部の大富豪に限った話ではありません。世界各国の政府もまた大量の「金」を買い集めているようです。
事実、世界金評議会(WGC)によると、2022年の政府による金の購入量は過去最高を記録。1年間で1,136トン(約700億ドル)に及ぶ金を購入しました。
例えば、
さらに全体の7割の政府は、今後12ヶ月の間にさらに金の保有を増やす方針を示しています。
そして、一部の個人投資家も同じような考えを持っているようです。実際、米大手金融機関 SPDRの調査によると、金を「最良の投資先」と考える投資家の数は昨年に比べて約2倍に増加。2012年以来最も高い数字に。
一方で、株式が「最良」と答えた人は、2012年以降「最低」になっています。
一体なぜでしょうか?
その理由の一つは、ドル、アメリカ経済が抱えるリスクが徐々に表面化してきていることです。
例えば、2023年8月26日には、「BRICS、米ドルの使用停止に正式合意」というニュースが流れました。
各国のリーダーたちは、こんなことを言っています。
もちろん彼らがアメリカに対して非常に過激な見方をしていることは考慮した方が良いでしょう。ですが、ドルの危機を警告しているのは彼らだけではありません。
大手金融機関 JPモルガンは「米ドル離れが加速している」と警告。
国際通貨基金(IMF)は、「水面下での米ドル支配の衰退」と題したレポートを発行。中央銀行の米ドル比率が低下の一途を辿っていることが明らかになりました。
また2023年8月1日には、大手格付け会社であるフィッチがアメリカ国債の格付けを引き下げています。
このように今、ドルの危機が警告されているのです。そして、金はドルに連動しています。そのためドルが下落すれば、金価格は上昇する傾向にあります。その逆も然りです。
実際、ジム・リカーズ氏はこう言います。
だからこそ世界の大富豪たちや政府は、これまで以上に「金」を重要な投資先と見なしているのでしょう。
もちろん彼らは数週間や数ヶ月といった短期間でドルが下落すると予測しているわけでも、資産を全て金に移行しているわけでもありません。
ですが、ここまでお伝えした通り、「金」はドルや株式とは逆の動きをする傾向にあります。ドルの価値が下がれば、金の価格は相対的に上がり…株式市場が下落すれば、金にお金が集まるといったように…
だからこそ、株式と金、またはドルと金というように資産を分散しておくことで、より一層の安心感と安定感を持って投資を行うことができるかもしれません。
実際、世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエイツは、投資家に対しこんなアドバイスをしています。
ぜひドル資産と金、2つの投資先に注目してみてはいかがでしょうか?
P.S
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