【ゴールド特集③】日本で初めて「金」が採れた日
「金が採れたぞ!」
今から約1,300年前の749年。その年、日本で初めて「金」が発見されました。現在の宮城県で約13kgの砂金が採れたのです。
それまでの日本は金が採れず、海外からの輸入に頼っていたそう。「この国はキンを産出しない貧しい国だ」と悩んでいました。
そのため金発見のニュースには、聖武天皇も大喜び。嬉しさのあまり年号を「天平」から「天平感宝」に改元したほどでした。
さらに、まだ喜びが足りなかったのか、その年のうちに再び年号を「天平勝宝」に。1年のうちに「3つの年号」が生まれました。
1年で3つの年号が生まれたのは未だこの年だけ。いかに当時の日本にとって、喜ばしい出来事だったかよく分かりますよね。
それ以来、日本は世界有数の金産出国として世界から注目を集めてきました。「黄金の国 ジパング」という言葉を一度は聞いたことがあるかもしれませんね。
実際、日本では749年以降、約800年間で100トン前後の金が産出されたそうです。当時、これだけの金が採れた国は他になかったと言います。
17世紀には世界の金の約20%、銀の約47%を産出するほど。特に、佐渡金山は世界でも有数の金山で、日本の産出量の半分近くはここから取れたと言われています。
他にも、北海道にある鴻之舞(こうのまい)金山は、合計で金73トン、銀1,234トンを産出した日本で3番目に大きい金山。大分県にある鯛生(たいお)金山も年間2.3トンもの金を産出した日本有数の金山でした。
しかし、それから500年ほど経った今、日本で稼働している金山は一つだけ。鹿児島県の「菱刈(ひしかり)金山」のみです。
日本の金生産量は年間で7.5トンほど。これは、世界の金の産出量のわずか0.2%ほどに過ぎません。しかも、今の採掘ペースで行けば、残り25年ほどで金脈は枯渇してしまうと推定されています。
こうしてかつて「世界有数の金産出国」だった日本は、どんどんと金が取れなくなり、”資源小国”と呼ばれるようになりました。
そんな中、再び日本が「資源大国」に返り咲く…そんな可能性がこの中に隠されています。
タダのゴミの山ではありません。「都市鉱山」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは、生活の中で大量に廃棄される家電製品などの“ゴミ”の中に存在する貴金属のこと。
実は、スマホやパソコン、ゲームのカセット、デジタルカメラには「金」が使われているのです。
しかも、少し金が取れる程度の話ではありません。携帯電話1台から採れる金の量は約0.05g。
携帯電話を1万台(約1トン)集めれば、約280グラムの金が取れる計算になります。1トンの金鉱石から採れる量は5グラムほどですから、その効率は実に56倍です。
中でも日本の都市鉱山は世界でトップクラス。「都市鉱山の宝庫」だとも言われています。その埋蔵量は推定で6,800トン。これは、世界の金埋蔵量の約16%に当たるほどです。
世界の金産出国と比べてみても、この通り。日本の都市鉱山がいかに大きな可能性を秘めているか、よく分かりますよね。
だからこそ日本では今、この都市鉱山という新たな資源を活用する動きが活発になっているのです。
例えば、「2020年の東京オリンピックの金メダル」。実はあれは、都市鉱山から採れた金で作られたことを知っていましたか?このような取り組みは世界でも日本が初めてでした。
昨年には、環境省が”都市鉱山プロジェクト”を発表。都市鉱山から回収する金属の量を「2030年度までに倍増させる」方針を示しました。
投資家の間でも話題になっているようで、みん株の『注目テーマ ランキング』では「都市鉱山」が3位にランクイン。
この都市鉱山が、日本が再び資源大国に返り咲く”カギ”になるかもしれません。ぜひこのテーマにも注目してみてはいかがでしょうか?
P.S.
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