地球は温暖化していない。ESG投資のウソ
From:ジム・リカーズ
大手石油会社は”ESG投資”が好き
あなたも一度は「ESG投資」という言葉を聞いたことがあるのではないだろうか?
先日、世界最大の銀行の一つであるHSBCは、石油や天然ガスの探査・開発プロジェクトに資金を提供しないことを発表した。
さらに、既存の顧客に対しては、二酸化炭素排出量削減の取り組みについて、より厳しく監視することを発表している。
これは、いわゆるESG投資と関係がある。
ESGとは、環境、社会、ガバナンスのこと。経営者や投資家が事業や資産配分を決定する際に考慮するよう求められている3つの要素である。
利益はもはや「王」ではない
ESGが登場する以前は、経営者は企業の利益に対してのみ責任を負い、投資顧問会社は一貫して投資リターンに対してのみ責任を負っていた。
環境を良くし、社会を改善し、取締役会の外で良い管理体制を構築することは、政府や市民、非営利団体の仕事であると考えられていたのだ。企業は「収益」がすべてだったのである。
しかし、今は違う。
株主を第一とする株主資本主義から、より広い社会を考慮したステークホルダー(※)資本主義へと移行しているのだ。
(※ステークホルダー=企業活動の影響を受けるすべての相手)
企業はその富と規模、影響力から、権力エリート(国家の政策に決定権を有する人々)やイデオローグ(抽象的な議論にふける空論家)に乗っ取られ、公営住宅や教育、気候変動に至るまで、多くの社会プログラムに水を差すようになったのである。
HSBCが石油探査・開発への出資を停止した背景には、このような事情があるのだ。
ESGは大手石油会社にとって素晴らしいものだ!
表面的には、ESGへの移行は石油・ガス産業にとってマイナスであるように見える。実際、一部の企業にとってはマイナスになるかもしれない。
しかし、一部の石油会社にとっては、プラスに作用する。
なぜか?
世界は見渡す限り、石油と天然ガスに依存している。大手石油会社は、ESG投資の影響に耐えることができ、中小のエネルギー企業はこの政策で苦しむことになるだろう。
そのため、大手石油会社は、世界が必要とする大量の石油やガスを探鉱し、生産することになる。(中小企業の分まで)
例えば、サウジアラムコ、エクソンモービルといった企業たちだ。
風力発電や太陽光発電が、石油やガスに取って代わることはあり得ない。風力発電機と太陽電池の組み合わせでは、現在の送電網を維持するための最低水準の電力を供給することができないのだ。
忘れ去られる再生可能エネルギー
なぜなら、ニッケル、リチウム、銅、その他の物資は、「断続的な電力源」を「信頼できる流れ」に変えるために必要な量を十分に採掘することができないからである。
さらに、これらの資源を採掘するために必要なエネルギーは、その結果得られるエネルギーよりも大きい。 電池は8〜10年で消耗し、有毒な化学物質が含まれているため、廃棄処分の問題もあるのだ。
グリーンエネルギーと呼ばれるものは、少なくとも当分の間、忘れていただきたい。ESG投資は、中小企業から石油探査や開発のための資金を奪ってしまうのだ。
さらに、大手石油会社にとって朗報が...
石油価格上昇の犯人
OPECとロシア(現在はOPEC+)は最近、当面の価格を支えるために減産することを決定した。
米国が主導するイランとシリアによる石油輸出の禁輸措置の継続も生産量の足を引っ張っている。
減産は価格上昇につながる(すべての条件が同じであれば)。
もちろん、バイデン政権によるキーストーンXLパイプライン(※)の廃止、連邦土地での新規石油・ガス探査許可の大幅制限、新たな規制によるフラッキング産業(石油・天然ガスを抽出する技術)へのハンディキャップなども石油・ガスの供給の大きな影響を与えている。これらはアナリストもすでに知っていることだろう。
(※カナダと米国を結ぶ原油パイプライン)
こうしたことが生産量を減少させ、価格を上昇させているのだ。
要するに大手石油会社は、こういった近視眼的な政策、地政学的な動向、単純な需要と供給から利益を得る立場にあるのだ。なぜなら彼らは、中小企業にはない資金不足を克服するための「資源」を持っているからである。
気候モデルはゴミ
温暖化の予測に用いる気候モデルは、プログラマーのバイアスを反映しているため、間違っている。
気候モデルは、FRB(連邦準備理事会)の経済モデルの気候版みたいなものだ。いつも少し間違っている。
ハッキリ言うと、気候モデルはゴミだ。(私はそれを研究し、数学と複雑な力学、それがなぜゴミなのかを理解している。)
だから、「存亡の危機」とか「10年後には水没する」とかいう脅しは、ゴミに基づいているのである。
気候変動に関する警告に耳を傾ければ、地球を救うにはあと数年しかないと言うだろう。
もし私たちがCO2排出をすばやく取り除かなければ、地球は温暖化し、海面は上昇し、嵐は激化し、都市は浸水し、飢餓や病気、脱水症状で生命が失われると。
こうした主張はどれも経験的に間違っているが、それでも世界の権力者は、石油やガス産業を停止させ、太陽光や風力、水力などのいわゆる再生可能エネルギーで発電を代替しようとすることを止めない。
地球温暖化は「危機」ではない
地球は温暖化していない。しかし、太陽フレアの周期的な減少や火山活動の増加(この二つは実は関係があるのかもしれない)の影響で、大気中の灰分が太陽の強度を弱めるため、地球は冷えている可能性がある。
海水面はわずかに上昇するかもしれないが、今後100年間で7インチ程度(17.78 cm)である。
最後の氷河期の終わりから海水面が400フィート(約122m)上昇し、人類がうまく適応したことを考えると、これはほとんど心配する必要はないだろう。
CO2は大気中のわずか0.04%(400ppm)の微量ガスであり、植物の栄養に不可欠であることを除けば、科学が知る限りでは大きな影響はない。
最近の研究によると、二酸化炭素が2倍になったとしても、気温は1.5度程度しか上昇しないようだ。
これは危機的状況とは言い難い。
植物と人間との戦い
また、二酸化炭素を減らしすぎると、植物に悪影響が出る恐れがある。ハリケーンの被害が拡大しているのは、暴風雨が激しくなったからではない。過去100年間の暴風雨のピークは1940年代だった。
連邦政府が補助金を出している洪水保険に加入した愚か者が、砂州(※)にマンションを建て、予測できる暴風雨でそのマンションが吹き飛ばされているからだ。
(※海岸や湖岸のやや沖合に、細長く岸と平行に延びた、砂礫の堆積地形)
この悲劇の起源は、私たちがエネルギーの供給を減らし、大嘘をついてコストを引き上げていることに他ならない。この真実を知っておく必要がある。
P.S.
著者のジム・リカーズについては、こちらで詳しくお伝えしている。
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