大統領選挙がどう株価を動かすのか?
下の画像は何のチャートかわかりますか?
よく見てみると…
期間ごとにリターンの%が書かれています。
そして、「Year ○ average」とも記載がありますね。
さて、このチャートが何を意味しているのかわかりましたか?
正解は…
大統領選挙サイクル
このチャートが意味していたのは、
「米国大統領選挙後と株式市場平均リターン」の傾向でした。
つまり、4年ごとに算出された「株式市場の平均パフォーマンス」です。
このチャートは、
1928年から2012年までの米国株式市場のデータを元に
計算・作成されています。
その結果、
大統領選挙後
1年目→3.96%
2年目→4.49%
3年目→13.46%
4年目→7.0%
のリターンとなっていました。
およそ100年間の株価推移を見ていく中で、
大統領の選挙から3年目(=本選挙の前年)が、
最も高いパフォーマンスを出していますね。
この「大統領の選挙から3年目(=本選挙の前年)が、最も高いパフォーマンスを出す」というのは、アメリカの一部金融メディアや機関投資家にとっては、すでに知られている事実です。
そして彼らは、選挙から4年目を迎える年は、「株式市場が伸び悩む年であること」も理解しています。
事実…
「大統領選挙は、株式市場にとって向かい風である」
~BARRONS(米国の経済誌)~
「⼤統領選挙の年の株価は、選挙前年より悪化する」
~SBI証券(日本の大手ネット証券)~
「選挙の年には株式市場がアンダーパフォームする傾向がある」
~Cabot Wealth Network(世界141か国にてサービスを展開する米国金融調査会社)~
などのコメントがありました。
このことを考慮すると、来年、2024年は、
2023年よりもパフォーマンスが悪化することが想像できますよね。
実際、機関投資家や世界的投資家も
口を揃えて「来年の相場は厳しいものになる」と言っています。
例えば…
世界的金融機関JPモルガンの最高幹部マルコ・コラノビッチ氏が
「2024年に近づくにつれて、市場が弱気になっている。来年の株式市場は世界的な成長鈍化の見通しが立つ」と分析。
さらにJPモルガン社の公式発表としても、
「2024年の米国株は約8%下落する」と予測されていました。
また、「債券の王様」と言われている
世界有数のファンドマネージャー、ビル・グロス氏は、
「今、株式はあきらかに過大評価されている」と発言し、
世界最高の投資銀行の一つゴールドマン・サックスに勤める
米国株式チーフ・ストラテジストの、デービッド・コスティン氏は
「2024年の株価の上昇余地は限られている」
と分析しています。
では、なぜ大統領選挙の前年の株式市場のパフォーマンスは最も良いのでしょうか?
なぜ大統領選挙が行われる年はパフォーマンスが低下するのでしょうか?
①大統領選挙の前の年(2023年)の株式市場のパフォーマンスが高くなる理由
それは、
「現職大統領が、翌年の大統領選挙での再選を意識して、
景気が上昇するよう政策を打つと考えられているため」
です。
政権が人気か不人気かに関係しません。
不人気であれば、それに代わる新たなリーダー出現への期待値が高まります。
人気であれば今の政策の延長への期待が集まるのです。
つまり、選挙前年の株式市場は
「選挙結果を起点に新陳代謝が起きる」と期待が膨らむ傾向があります。
そのため、パフォーマンスが高くなるのです。
②大統領選挙年(2024年)の株式市場のパフォーマンスが低くなる理由
それは、「大統領が誰になるのかわからないことからくる不安感・警戒感で株式市場にお金が流れないため」と言われています。
実際、前回の大統領選挙(2020年)のときも、その前の選挙の時(2016年)も警戒感が強まっている報道が多数ありました。
2020年はコロナショックがあったため例外的な動きをしています。
しかし、2016年のクリントン候補vsトランプ候補の戦いの時は、停滞感が否めない相場となっていることがわかるでしょう。
将来の先行きが立たないと、投資家としては不安になります。
すると、「投資資金を一度現金化しておこう」「今株を買うのはやめておこう」という心理が働きます。
それに伴って、株価が伸び悩むことはごく自然なことかもしれません。
実際2024年も株式市場に対して悲観的な見立てがなされています。
伝説的な投資家レイ・ダリオ氏は、
「歴史的に考えれば、これから株式市場はさらに下落する未来が見えている」と発言。
世界三大投資家の一人、ジム・ロジャーズ氏は
「株よりも金や銀を買うべき」と発言しています。
2024年は、株式以外の投資先も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
p.s.
バイデン大統領の就任年度別の株式市場の変化率は次の通りです。
・2021(翌年):15.8%
・2022(2年目):-10.7%
・2023(3年目):18.8%
現状、3年目が最も高い。
つまり、2024年(就任4年目)は、
2023年よりも、パフォーマンスが低調になることが予想できるでしょう。