第三次世界大戦はもう始まっている
From:ジム・リカーズ
第三次世界大戦はすでに始まっているのか?
これは重大な疑問であり、投資家は真剣に検討する必要がある。
ウクライナ戦争が制御不能になり、第三次世界大戦に発展する可能性があると警告するアナリストやコメンテーターが相次いでいる。
その一つには、戦術核兵器が投入され、核戦争にエスカレートする可能性がある、というものがある。多くの人は、ウクライナでの作戦が失敗したことに絶望し、核攻撃を行うのはロシアだと指摘しているのだ。
しかし実は、その反対である。
ロシアの作戦は失敗していない(冬期攻撃を開始するための適切な条件を待って、数カ月間中断している)。
ただ、本質的にウクライナのプロパガンダ(※)である主流メディアでは、それについて語っていないだけなのだ。
(※特定の思想・世論・行動へ誘導する意図を持った宣伝行為)
そして、核兵器を最初に使用する可能性が最も高いのは、米国だ。ウクライナが崩壊の危機に瀕したときにその面目を保ち、ロシアを弱体化するために…
もう第三次世界大戦に向かっている
多くの人は、それを信じることができない。
プーチンが悪魔の化身で、きっと世界を滅ぼしたいと思っていると聞かされてきたのだ。
現代人は洗練されており、プロパガンダ(世論操作)の餌食になることはないと思いたいだろう。
しかし残念ながら、それは真実ではない。
事実、アメリカは1945年8月6日から9日にかけて、歴史上唯一の核戦争を行い、成功させたのである。私はここで、道徳的な問題に立ち入るつもりはない。ただ客観的な事実を述べているだけだ。
いずれにせよ、再び核戦争が起きれば収拾がつかなくなり、第三次世界大戦に等しくなるだろう。
しかし、私が言いたいのは第三次世界大戦に向かうかもしれないのではなく、もう向かっているのだ。
一般的な戦争、特に世界大戦がいつ始まり、いつ終わるかという問題は、多くの人が思っているほど明確ではない。それを説明する多くの事例がある。
戦争はいつ"正式に"始まるのか?
それは複雑だ。
第一次世界大戦はいつ始まったのか?
モロッコのアガディール危機(1911年)、イタリア・トルコ戦争(1911-12年)、バルカン戦争(1912-1913年)など、多くの前兆があった。
第一次世界大戦は、1911年という早い時期にカウントダウンの段階に入っていたことは明らかである。
あるいは、1914年6月28日のフランツ・フェルディナント大公の暗殺で始まったのだろうか?
1914年7月28日のオーストリア・ハンガリーによるセルビアへの宣戦布告か?1914年8月1日のドイツによるロシアへの宣戦布告?
実は、第一次世界大戦の始まりは、事件の連続だったのである。
今挙げたもの以外にも、多くの事件があった。もちろん、アメリカが第一次世界大戦に参戦したのは1917年4月6日である。
第一次世界大戦の終結もまた、泥沼であった。ほとんどの学生は、1918年11月11日を終戦の日として暗唱している。
それはちょっと違う。
その日は休戦協定が結ばれ、銃撃が止まった日である。しかし、休戦は停戦であって、平和条約ではない。戦争を実際に終わらせたベルサイユ条約は、1919年6月28日に調印された。
戦争がいつ始まり、いつ終わるかという線引きが曖昧なのは、何も今に始まったことではないのだ。
朝鮮戦争は1953年7月27日に休戦協定が結ばれて終わったが、厳密にはまだ終わっていない。
さらに興味深いのは、第二次世界大戦の始まりである(ウクライナの戦争にも最も関係がある)。
第二次世界大戦はいつ始まったのか?
ほとんどのアメリカ人は、日本が真珠湾を攻撃した1941年12月7日からと思っている。
それは米国が参戦した正しい日付だが、もちろん戦争は1939年9月1日、ドイツがポーランドに侵攻したときに始まっている。イギリスとフランスがドイツに宣戦布告したのは9月3日である。
しかし、第二次世界大戦はもっと前に始まっていたのだろうか?
日本は1931年9月18日、満州に侵攻した。そして、溥儀(ふぎ)皇帝(清朝の末裔で悪名高いラストエンペラー)が率いる傀儡政権「満州国」を樹立。
その後、1937年に日本が中国に本格的に侵攻し、1937年12月に南京大虐殺が行われた。
もちろん、第二次世界大戦のヨーロッパと太平洋の戦域は異なり、地理的にも離れているが、少なくとも1931年か遅くとも1937年には中国で第二次世界大戦が始まったということは議論の余地がある。
私はそのように考えている。
また、ドイツがゲルニカを爆撃し、ロシアが人民戦線に資金を提供し、傭兵がアメリカのエイブラハム・リンカーン旅団を含む国際旅団を結成したスペイン内戦(1936-1939)を無視してはいけないだろう。
スペインの地で米露がドイツと戦うという光景は、第二次世界大戦をきちんと予見していた。ウクライナ戦争への外国人戦闘員の流入は、これと類似した状況を示している。
第三次世界大戦は?開戦の合図
つまり、戦争の始まりと終わりは曖昧なケースが多い。
では、第三次世界大戦がすでに始まっていると言えるのはどんな場合だろうか?
まず第一に、直接的に関与している国の数である。
NATO加盟国がウクライナを傍観して応援しているというのはナンセンスである。NATO加盟国は武器、情報、資金、弾薬、兵員を提供し、直接的に関与しているのだ。
ポーランド軍は、ウクライナの制服を着た傭兵として活動。
米国と英国の特殊工作員は、ウクライナ国内で情報、武器訓練、兵站(へいたん)の支援を実施。(これらの特殊工作員は、米英の諜報機関とのつながりを隠すために、CIAやMI6に請負業者として雇われることが多い)。
ポーランドとリトアニアは、ウクライナに高性能のレオパルド戦車を供給。
英国は、最も高性能な戦車であるチャレンジャーIIも供給する準備を進めている。
米国はブラッドレー戦闘車とストライカー装甲車を供給。また、HIMARS(長距離誘導ミサイル砲)とパトリオット対ミサイル砲台も供給している。
欧米は弾薬、現金、ドローン、衛星画像、信号情報(SIGINT)、人的情報(HUMINT)を提供。
ロシアは同盟国や傭兵を加入させることに関しても、ぬかりはない。民間の傭兵部隊であるワグナー・グループは、ソレダーやバフムート付近の最前線に出動しているのだ。
ロシアはトルコとイランからドローンを調達。シリアからは戦闘員を補充している。中国は、ロシアが兵器を製造し、ミサイル攻撃を継続するための資金援助と技術提供を行っているのだ。
エスカレートする戦争
また物理的な戦闘も各地で起きている。
・ポーランド(ウクライナのミサイル誤射)
・ベラルーシ(同じくウクライナのミサイル誤射)
・ロシア(核兵器が近くにあるロシア国内の空軍基地へのドローン攻撃)
・ドイツ(ノルドストリーム・パイプラインの妨害)
また、黒海での海戦も起きている。
もちろん、米国やEUが主導する金融・経済制裁に参加してウクライナを支援している国も多数ある。
現在、武器・資金・情報・傭兵・あるいは金融制裁でウクライナの戦争に直接関与している国は、こんなにもあるのだ。
米国、英国、ドイツ、フランス、ポーランド、リトアニア、カナダ、オーストラリア、ウクライナ、ロシア、中国、シリア、イラン、トルコ、日本、ルーマニア、ベラルーシ、モルドヴァなどである。
これらの国は4つの大陸にまたがっている。経済的な影響は世界的なものだ。
これが世界大戦でないとすれば、何が世界大戦なのか分からない。
第三次世界大戦はここにある。
今は1941年の段階ではなく、1937年の段階なのかもしれない。投資家にとって重要なことは、この戦争が終結に近づいていないことだ。
影響を受ける国、金融制裁、武力行使の可能性など、戦争が拡大する可能性の方がはるかに高い。
核兵器の応酬にエスカレートする危険性は現実のものとなり、高まっている。
手遅れになる前に、誰かがそれを止めることができるだろうか?
P.S.
著者のジム・リカーズについては、こちらで詳しくお伝えしている。
P.P.S
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