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2024年上半期の米国経済と日本経済の共通点

From:ジム・リカーズ

ジム・リカーズは、ウォール街で40年の経験を持つ金融・経済の専門家。地政学に精通している彼は、地理的な条件から、軍事や外交、経済を分析することを得意とする。実際、米国における彼への信頼は非常に厚く、CNBC、ブルームバーグ、ウォール・ストリート・ジャーナルといった世界的なメディアに数多く出演し、政治問題や経済の動向について提言を求められてきた。さらに彼は、ホワイトハウス、CIA、国防総省の元顧問である。2008年にはリーマンショックの発生を予測し、CIAに対して助言を行っていた。彼のもう一つの肩書きは、5冊のベストセラー本の著者。その著書には『The New Case for Gold』(邦題:いますぐ金を買いなさい)や『The Death of Money』(邦題:ドル消滅)がある。政府機関が信頼を置いてきた彼の予測や提言は、きっとあなたの金融知識の向上、ひいては資産形成にお役立ていただけるだろう。

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スタグフレーションという意味をご存知だろうか?

これは、景気の停滞を意味する「stagnation」と、物価の上昇を意味する「inflation」を組み合わせた造語である。

景気後退は「高い失業率と支出の減少」を特徴とする。

一方インフレは「雇用の創出と支出の増加」によって引き起こされる。

というのが、大半の経済学者の見方だ。 そのため、この2つが並行して起こるとは思っていない。

だが、この見解が間違っていることを説明しよう。スタグフレーションは目の前で起きている。

スタグフレーションの始まり

スタグフレーションの始まりは経済成長の停滞からだ。

2四半期連続でGDPが減少するなど、明らかな景気後退の場合もあれば、潜在成長率を下回る低成長が続くといった場合もある。

ここ数年、米国経済は成長を維持してきた。


米国のGDP成長率

出所: Trading Economics


だが、その成長幅は過去の平均を下回っている。 そして、そもそもこの成長が、政府の金融政策によるものではないことを覚えておいてほしい。

これまでのわずかな成長は、年間3兆ドルに迫る赤字の上に成り立っているのだ。

政府の直接的な赤字支出を伴う財政政策により、金融政策では不可能な成長がもたらされた。

だが、問題はその代償だ。

ケインズ経済学では、不況時や消費者の貯蓄が過剰で総需要が不足している場合、政府支出が経済を活性化させるとしている。

国の負債額が適度で、支出が生産性向上に結びつき、不況により余剰の産業能力がある場合であれば良い。

しかし、今日これらの条件はどれも該当しない。​​

それは、米国の債務対GDP比率は米国史上最高値の134%であることが示している。

この状態は長期的に、米国の成長の足かせにしかならない。

米国は今や日本と同じ状況にあると言えるのだ。

日本の債務対GDP比率は約260%。1990年以降では、9回の景気後退を伴う長期の不況に陥っている。

そして、債務比率と低成長問題を悪化させ、名目成長を支えるために赤字支出を繰り返すしか無かった。

米国や、世界の多くの国々も同じ道を辿っている。

最近の好調な四半期決算にも関わらず、弱い成長と時折くる景気後退が、米国経済の未来なのである。

スタグフレーションの到来は仮説ではない。

再燃するインフレ

スタグフレーションが到来したか否かには議論の余地があるとしても、インフレが高止まりしていることは明らかだ。

インフレ率は直近3か月で上昇。もっとも、ここ10か月は3.3%前後を維持している。

我々はインフレから解放されていない。

原油価格が一つの指標だ。

2023年12月12日の原油価格は1バレル当たり68.50ドルだったが、4月初旬に86ドルを超えた。現在は多少下落し78ドル程度だが、上昇傾向であることは間違いない。

原油価格の上昇がサプライチェーンに及ぶのも時間の問題だろう。

出所:REUTERS

すでに若干の影響は出ているが、問題はこれからだ。これによりインフレは現在の水準を維持する、あるいは悪化していく。

FRBが望むインフレ率の低下を示す兆候はどこにも無い。

インフレを助長するさらなる要因として、

・ボルチモアのキーブリッジの崩落
・紅海/スエズ運河航路の閉鎖
・ウクライナ戦争による制裁の継続
などがある。

こうしたサプライチェーン上の制約は、長期的にはデフレにつながるかもしれないが、短期的にはインフレを再燃させる。

さらに経済が低成長基調であることを加えれば、スタグフレーションの完成だ。

ウォール街はまだそれに気づいていない。

原油調達や輸送のボトルネックといった供給サイドの混乱、組合契約や最低賃金の引き上げといった需要サイドの心理。

そして、現在は制限的である大手銀行によるユーロドル市場での動きなど、これらを加味すると、金融引き締めは急激な景気後退を招きかねない。

スタグフレーションが生じる条件は揃った。あとは時間の問題だろう。


〜編集部より〜

こうした景気後退のサインは原油価格についてだけではありません。

今、ジム・リカーズ氏が「2024年の株式市場は少なくとも30%、最大で50%の下落が予想される」と警告する“とある指標”とは?

続きはこちらの動画でご確認ください。

https://promo.fdamedia.jp/fdjr_recession_basic_bank?cap=note


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