【ニュース】サウジアラビアが石油の減産を決定。加速する石油トレンド
From チャールズ・ミズラヒ
「石油の生産を減らします…」
2023年4月2日、こんなニュースが流れた。
サウジアラビア、イラク、アラブ首長国連邦(UAE)など…世界の主要な石油産出国(OPEC加盟国)がこぞって生産を減らす方針を発表したのだ。その減産幅は、日量170万バレル(約2億7,000万リットル)。
昨年10月に決定した日量200万バレルの減産を含めると、約370万バレルの減産となる。日本の1日の石油消費量は326万バレルであるため、一国分の石油が減るということである。しかも、2023年の石油需要は「過去最高」になると予測されているにも関わらずだ。
ではなぜ、OPEC加盟国(石油輸出国機構)は減産する方針を示したのか?
サウジアラビアが石油の生産を減らすワケ
サウジアラビアは減産の理由について、「石油価格の下落を防ぎ、安定化を図るため」だと述べている。これに対し、米国は「市場の不確実性を考慮すると、現時点では減産が望ましいとは考えていない」と否定的な姿勢を示した。
だが私は、サウジアラビアの行動は理に適っていると考えている。というのも、世界最大級の産油国であるサウジアラビアにとって石油価格は非常に重要だからだ。
2014年、原油価格は7ヶ月弱で50%も下落した。
もし現在のような状況でまた原油価格が大幅に下落すれば、サウジアラビアは対処することができないだろう。なぜなら、ムハンマド皇太子(サウジアラビアの事実上の支配者)が経済を変革している真っ最中だからだ。
例えば、砂漠の中に新しい都市を作る計画や紅海(こうかい)リゾート、観光産業の建設など巨大プロジェクトを進めている。だが、これらはすべて莫大なお金を要する。
原油価格が下落すれば、サウジアラビアの収入は減る。そうなれば、計画している巨大プロジェクトすべてに支障が出てしまうのだ。そのため、サウジアラビアの決定はある意味、理に適っていると言えるだろう。
しかし、この決定は石油の供給不足に拍車をかけることになる。石油の需要は高まり続ける一方、その供給はみるみる遅れていくのだ。
歴史的な石油トレンドの入口
当然の話だが、需要が高まる中、供給が減れば、価格は高騰する。この法則について改めて説明する必要はないだろう。
私たちは今、「長期的な石油トレンドの入口」に立っている。「需要と供給の法則」は一時停止することはあっても、撤回されることは絶対にないのだ。
実際、先月の銀行破綻危機の最中、原油価格は高騰するどころか下落した。需要と供給の法則があるにも関わらず…
銀行の破綻を受けて、投資家が全てを見捨てたのである。石油価格は、1バレル当たり66ドルに急落。1年ぶりの最安値をつけた。しかし、危機が落ち着くと石油価格は回復。たった2週間で20%も急騰したのだ。
【理由】なぜ、石油価格は高騰するのか?
そして、このトレンドは長期的に続いていくと考えている。なぜか?その理由をご説明しよう。ここ最近の石油減産の発表は、実は3度目である。
つまり、石油生産量は昨年と比べて合計で420万バレル減ったことになる。
一方で、需要はどうか?石油の需要は、中国経済の再開を受けて、急増している。
こうして「需要の増加」と「供給の縮小」がぶつかると、「石油価格の高騰」という結果を生むと予測される。そのため私はここ1ヶ月、石油業界に関する情報提供に努めてきたのだ。
2023年の今、注目すべき投資先
市場が上昇に急転する前には、少しの間停滞する時間がある。「嵐の前の静けさ」のようなものだ。だが、現在の需要と供給の関係性を考慮すれば、今の原油価格の安値は続かないだろう。
今後10年間は、石油の強気トレンドに注目しておくことをおすすめする。特に、最大のエネルギーETFであるエネルギーセレクトセクターSPDRファンド (NYSE: XLE)は注目に値する。
このETFは、エクソンモービル、シェブロン、シュルンベルジェなどの世界最大のエネルギー企業だけでなく、その他23の企業を含んでいる。そして、これらの企業の100%が米国に位置しているのだ。
原油価格の上昇は、今後も衰えることがないだろう。昨年の化石価格の上昇は始まりに過ぎず、今後も着実な上昇が期待できる。引き続きこのトレンドを活用する方法についてお伝えしていく。お楽しみに。
P.S.
こちらでは石油企業をはじめ、今が買いの優良企業をご紹介している。
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(※石油企業はアルファ・インベスター創刊記念号の29pでご紹介している)