最大の敗者はアメリカか?ウクライナ戦争の恐るべき結末
From:ジム・リカーズ
メディアの報道はどれも真実ではない
別の記事では地政学的な観点から、今最も複雑で大きなトピックである中国を取り上げた。
今日は、それよりも圧倒的に憂慮すべきトピックを取り上げる。それが、ウクライナ戦争とその拡大による危険性である。
私は、米国や英国のマスメディアが報じないウクライナ戦争の側面について、何度も記事を書いてきた。
ニューヨークタイムズやワシントンポストなど米国の報道機関は、ロシアの計画がいかに失敗したか?ウクライナ軍がドンバスでいかにロシア軍を押し返したか?
そして米国のエイブラムス戦車、英国のチャレンジャー戦車、ドイツのレオパルド戦車などのNATO兵器がまもなく戦争の潮目を変えるだろうと延々報じている。
しかし、これらはすべてナンセンスだ。どれも真実ではない。
ウクライナ戦争の現実
まず、夏の終わりに行われたウクライナの侵攻は、ロシア側が兵力を温存するためにすぐに譲歩した、防衛力の弱い陣地に対するものだった。
ロシア軍は貴重な人員と資材を失わないために、喜んで土地を譲ったのだ。
ロシア軍はより防御力の高い場所に撤退し、それ以来、ウクライナの攻撃部隊をひどく痛めつけ続けている。
ウクライナはこのような無益で不用意な攻撃で、信じられないほど大量の人員と装備を浪費しているのだ。
信頼できる報告によると、ウクライナ軍の死傷者は50万人に迫り、維持できないほど増加している。
一方、ロシアは10万人の犠牲者がいるという報告は、ほぼ間違いなくウクライナによる乱暴な誇張である。
BBCはこの数字を検証しようと試みたが、葬儀の通知や公的記録などを広範囲を検索した結果、確認できたロシア人の死者は約2万人に過ぎなかった。
戦車を送り込め!
NATO(北大西洋条約機構)が送るとされている戦車についてはどうだろうか?
戦車はまだ納入されておらず、ほとんどが数カ月、あるいはそれ以上かかるだろう。米国のM1エイブラムス戦車も、1年以上は到着しないかもしれない。
実はこの戦車は特注品で、本来のM1が持つ特殊な装甲やその他の高度なシステムを備えていない。
米国の国防総省としては、破壊されたり、ロシアに奪われることを避けたいのだ。
それに、どうせ31台の戦車を"送るだけ"である。NATOの戦車が到着しても、ロシアの大砲や対戦車兵器、精密ミサイルですぐに破壊される可能性が高い。
いい戦車ではあるが、無敵というにはほど遠い。ロシアは何十年も前から、NATOの戦車を破壊するために特別に設計された強力な兵器を開発してきた。
ロシアは特に心配をしていないのだ。
しかも、戦車は空からの援護が必要不可欠だが、ウクライナにはそれがない。戦場ではカモにされるだけだ。ウクライナに戦車を送るには、戦闘機を送って援護してもらわなければ意味がない。
戦場ではロシアが勝利している
ロシア軍はバフムート市をほぼ包囲した。
バフムート市は交通と物流の要所で、いくつかの重要な道路と鉄道が通っている。おそらく数週間以内にロシア軍に陥落させられるだろう。
西側メディアは、バフムートはそれほど重要ではないと主張しているが、バフムートを失うことはウクライナにとって大きな打撃となる。
ウクライナの全長800マイルの防衛線はおそらく崩壊し始めるだろうし、彼らは反撃するための強力な要塞を持ち合わせてはいない。
ウクライナ軍は勇敢で有能な兵士ではあるが、疲労困憊しており、物資も不足しているのだ。
その上、ロシアは大量の人員、戦車、装甲兵員輸送車、大砲、ヘリコプター、ドローン、固定翼機による壊滅的な攻勢を準備している可能性が高いようである。
さらにこのロシア軍は、1年前にウクライナに侵攻した軍とは違う。
訓練も指導も装備もはるかに優れている。昨年2月の最初の侵攻で犯した過ちから学んだのだ。ウクライナは、彼らがその過ちを繰り返すと期待すべきではない。
念の為言っておくと、私はロシアの勝利を応援しているわけではない。ただ現地の事実を観察し、それを整理して客観的な分析をしているだけである。
その上で、ロシアが軍事的に勝利すると考えている。
欧米の軍事支援は戦闘を長引かせるかもしれないが、最終的な結果には影響を与えないだろう。不可避の事態を遅らせ、より多くの人々が不必要に殺されるだけだ。
目前に迫る核戦争のリスク
メディアで報道されていない、あるいは軽視されている、もう一つの側面は「核戦争のリスク」である。
このリスクは、両陣営がエスカレートするたびに高まっている。米国は、長距離砲、パトリオット対ミサイル砲、情報、監視、そして今回の戦車を供給することで、無謀なエスカレーションを主導しているのだ。ロシアはそれぞれに対応している。
両者が核のレベルに到達するまでにはいくつもの段階があるが、どちらも一歩も退く気はないようだ。
ロシアはウクライナに武器を供給しているNATO諸国を攻撃する法的権利を有している。NATO諸国は紛争当事国に武器を供給することで、中立性を放棄し、事実上、戦闘員になっているのだ。
ロシアは、NATOを直接戦いに巻き込みたくないので、これをやっていない。しかし、法的には可能である。
もっと私に武器をください
ウクライナは米国、英国、その他のNATO諸国に対して、ロシア軍と戦うための高度な武器を要求し続けている。
西側諸国は、まずウクライナに現金、情報、ジャベリン・ミサイルなどの対戦車兵器を供給。すぐに長距離砲、無人偵察機、そしてさらに多くの現金を供給するようになった。
ロシアの前進が続く中、ゼレンスキー大統領は、飛来するロシアのミサイルを破壊できるパトリオット対ミサイル砲を要求し、手に入れた。
米国の大砲はロシアのクリミアに向けられ、いくつかのドローンは核兵器が近くにある空軍基地を攻撃。
次の要求は、米国、英国、ドイツ、ポーランドが供給中の先進的な戦車に関わるものだった。
驚くには値しないが、最新の動きとしてウクライナは今、世界で最も先進的な航空機の一つであるF16戦闘機を米国に要求している。
しかし、ロシアは世界で最も高度な防空システムを持っており、F-16を撃墜する能力が非常に高いのだ。
バイデン氏はこれまでゼレンスキー氏の要求、例えば戦車の派遣を否定してきたが、最終的には譲歩している。戦闘機についても、おそらく同じことになるだろう。
いずれにせよ、それではロシアとの戦局を変えることはできない。
これらの先進的な武器が役に立たないことが分かったら、ウクライナは次にどんな要求をするだろう?
ロシアは米国と同じように素早く戦争を深刻化させることができる。この流れは、核戦争またはウクライナの完全な崩壊に向けた長くゆっくりとした行進である。
この事態に備えている人はいるのだろうか?
バイデンは面目を失うことを恐れているし、ビクトリア・ヌーランドなどの側近はロシアに対して不合理な憎しみを持つ完全な戦争屋である。そのため、アメリカは武器の輸送を続けるだろう。
さて、そう考えると新たな危険性が生じてくる。
それは、米国自身がこの戦争で最大の敗者になるかもしれないということである。
ウクライナがロシアの大攻勢で消滅すれば、米国はますます絶望的になるだろう。ウクライナ防衛に多額の資金と物資、そして道徳的な重みを注いできた米国の信用は失墜することになる。
バイデン政権は本質的に、ウクライナ戦争を米国とNATOの存立危機事態に変えてしまったが、本来はそうすべきではなかった。
この戦争はロシアにとっては実存的なものであり、彼らはあきらめることはないだろう。
では米国は手を挙げて、ロシアの勝利を認めるつもりなのだろうか?
NATOは、このような壮大な失敗に直面して、実際に崩壊してしまうかもしれない。そして米国はおそらく倍返しするだろう。
自暴自棄になったバイデンは、ロシアの完全な乗っ取りに対する緩衝材として、ウクライナ西部に軍を派遣するよう命ずるかもしれない。するとどうなるか?
今のような代理戦争ではなく、米ロの直接戦争に急速に発展するかもしれないのだ。
アメリカ国民、特に投資家は、このような事態に何の準備もできていない。
P.S.
著者のジム・リカーズについては、こちらで詳しくお伝えしている。
P.P.S
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