
【3つの誤り】市場が犯した最大のミス
From:チャールズ・ミズラヒ

株式市場で40年以上のキャリアを持つ投資のエキスパート。23歳の時に自身の資産運用会社を立ち上げると、7年連続で全米No.1のリターンを出すことに成功。その手腕は瞬く間に知られることとなり、ゴールドマン・サックスやJPモルガン、クレディスイスなど世界トップの金融機関から資産運用を任されるように。また、35歳の時にはコモディティ・トレーダーとしても全米No.1のリターンを出した実績を持つ。2011年には、当時メディアから「今後株価が上がることはない」と酷評されたAppleとMicrosoftを推奨。それぞれ1,300%以上のリターンをもたらすこととなった。彼の洞察はNewYork Times、Barrons、Wall Street Journalをはじめ多数の経済・金融メディアで取り上げられている。また、彼が執筆するニュースレターは7万人の顧客に購読されており、その中にはメリル・リンチ、モルガン・スタンレー、JP・モルガンなど世界トップの投資銀行も含まれる。
あなたは投資先を検討するとき、チャートの動きやアナリストの評価に目が眩んでいないだろうか?
彼らは時より大きな間違いを犯す。
チャールズ・シュワブ(NYSE: SCHW)が良い例だろう。
同社は今年のS&P500種株価指数を構成する銘柄の中で、最も悪いパフォーマンスを見せている企業の一つである。

しかし、果たして本当に劣悪な企業なのだろうか?
ここで、少し見ていきたいと思う。
30年以上の信頼
私が同社と出会ったのは、30年以上も昔。
ロックフェラー・センターの一室でのことだった。

出所:rockefellercenter.com
同社は今でこそ米国最大の上場証券会社となっているが、当時は専門家向けの証券ビジネスを立ち上げたばかり。
私が顧客の口座の運用先に悩んでいたため、ミーティングを手配してくれたのだ。
部屋の前に着くと案内人から、このような紹介を受けた。
「あなたが顧客を大切にしているのと同じように、これから会う方も自分の顧客を大切にしています。彼はよくいるウォール街の住人とは全く違います。」
そして、その紹介は正しいものだった。

最高経営責任者(CEO)であるシュワブ氏に会った時、私の不安はすべて解消された。
同社が何か新しいことを試みる前に毎回、「これは顧客にどのようなメリットをもたらしますか?」と尋ねていると話してくれた。
1秒以内に答えられない場合、その策を実行することはない。
同氏は私と同じタイプの人間だったのだ。
それ以来、私の顧客の口座を全て同社に移すことを決めた。
そして30年以上に渡り、
✔︎低コストのサービス提供
✔︎8兆ドルを超える資産の運用
✔︎誠実で安定性のある取引
を実行することで、最大の上場証券会社へと成り上がった。
しかし、ウォール街はそれを全く好んでいない。
先ほどの通り、同社はS&P500種株価指数の構成銘柄のうち、最も悪いパフォーマンスを見せる企業の一つである。
株価が事業価値を遥かに下回って取引されているのだ。
これは、次の3つの市場の誤りから起こっている。
市場の誤り#1~パフォーマンス~
同社の株価は今年、S&P500種株価指数が約14%上昇し、金融セクターが約1.5%下落したことと比較して、およそ33%と大きく下落している。

特に、3月に複数の地方銀行が破綻したことへの不安から大幅に株価が下落した。
ここで考えてほしい。
株式投資は、短距離走ではなくマラソンである。
株価が急に上昇したり急落したりしても感情的になってはいけない。
重要なのは、ビジネスの本質が変化したかと言うことだ。
優秀なCEOが率いる素晴らしいビジネスは株価には左右されない。
事実、長期的に見てみるとどうだろう?

同社は35年ほどで株価をおよそ50,000%上昇させた。
これは、S&P500種株価指数の30倍以上であり、当時10万円でも預けていたら5,000万円になっていると言うことだ。
いかに短期的な揺らぎが小さなものかわかるだろう。
市場の誤り#2~ 預金への恐怖~
銀行破綻への不安が広がってから、米国の預金は低迷を彷徨っている。

それにより、市場は同社の口座からも資金が離れていくと考えているのだ。
しかし、実際には同社は短期的な引き出しをカバーできるほどの大きな流動性を保持しており、預金者は依然として安全な避難先として同社に預金を増やしている。
2019 年以降顧客資産は、3兆5000億ドルから8兆ドルと2倍以上に増えたほどだ。
そして、証券口座の数は1,200 万近くから3,400万以上へとほぼ3倍に増加している。
市場の誤り#3~ 収益と純利益~
同社の売上高と純利益は2022年後半以降減少を続けている。

これを踏まえ、今後も収益が減少すると怯えているのだ。
しかし、3~4四半期ではなくより長期に焦点を当てるとどうだろう?
2020年を機に大きく業績が上昇していることがわかると思う。
時間軸を短く捉えてはいけない
少なくとも年単位で測定することが、正確なビジネスを評価する指針となるだろう。
市場は大きな過ちを犯す
同社は、私が「短期的なノイズ」と呼ぶ現象に直面している。
しかし、それはビジネスとは何の関係もない。
多くの投資家はそのようなノイズに悩まされ、株式の売却に走ってしまうだろう。
しかし、それは短期的なことだ。
株価は質の高いビジネスに最終的に従う。
株価が上がるものをなぜ周りの声に従って売却をしてしまう必要があるのだろうか?
市場は時より大きな過ちを犯す。
ぜひあなたも、そのことを胸に、日々のノイズを無視して本当に優良な企業を持ち続けることを意識してほしい。
チャールズ・ミズラヒ
~Financial ダイレクト編集部~
そんなミズラヒさんが今注目する石油業界。
市場のノイズに惑わされず、安心して保有できる投資先を探しているならこの巨大なメガトレンドに乗ってみると良いかもしれません…