市場の専門家に従うと、うつ病になる
From チャールズ・ミズラヒ
"今後の予測"が当たらない専門家たち
あなたはこのチャートを見てどう思うだろうか?
2011年のS&P500種株価指数のチャートである。
色付けしている箇所に目がいくはずだ。そう、株価は大きく下落している。2011年当時、この状況を見た経済評論家兼ベストセラー作家のハリー・デント氏はこう語っていた。
「2008 年の金融危機が平凡に見えるほどの経済崩壊がやってくる」
また著名な投資家であるジェレミー・グランサム氏は、「現金を保持し、株が下がるのを待つべきだ」と言及していた。
彼ら以外にも多くの専門家が株式市場はさらに暴落すると予測していた。そして、今株を持っている人たちに“株を売って現金を持つように”アドバイスしたのだ。
では結果は、どうなったのか?こちらをご覧いただきたい。
2011年6月から2013年5月までのS&P500種指数の推移を表している。株価は下落するどころか大きく上昇していることが見て取れるはずだ。
もしあなたが、彼ら“専門家”の話を鵜呑みにしていたら、この株価上昇による利益を得ることはできなかっただろう。そう、ハリー・デント氏やジェレミー・グランサム氏の予想は大きく外れたのだ。
思い出してみてほしい。あなたは専門家の予測を聞くときに、「これまで予想をどのくらい外してきたか?」に注目したことはあるだろうか。
ほとんどの人はNoと答えるだろう。“専門家”と呼ばれる人たちは、「1/2」=『株価が上がるか下がるか』だけをメディアを通じて大きく公表する。そして、当たれば、「〇〇を予言した」と権威を醸し出すために利用するのだ。一方、予想が外れたなら、しばらく静かにしていればいい。そのうち、次の新しい予想を出せるようになるだろう。
これまで述べてきたように、”専門家”の言っていることを真に受けて、そのまま投資方針を決めると、大きな損失を被ることがある。
あなたが損をしても彼らには何も影響がない。しかし、あなたの大切な資産は減っていく。“専門家”の言っていることをただ聞いて、そのまま投資をしてしまうと、あなたは毎日鬱病で悩まされることにもなりかねないのだ。
私が断固として伝えたいのは、
誰も経済全体の未来を予測できない
ということだ。
経済全体の動きを予測するのは不可能。株式投資をするのであれば、個々のビジネスに焦点を合わせることが大事である。
個々のビジネスに集中する
私は経済全体を予測することはしない。その代わりに、個々のビジネスに焦点を当てている。つまり、企業の将来性、安定性を見ているのだ。
なぜなら、企業の分析の方がよっぽど簡単だからだ。2009 年の金融危機の間、誰もが今後の経済を把握しようとしていた。
しかし、私は経済全体がどうなるかは興味がなかった。ただ、当時バーゲン価格で販売されている偉大な企業への投資に集中したのだ。
結果は…
テキサス・インスツルメントは 約1,400% 上昇。
ノースロープ・グルマンは 1,400% 上昇。
マイクロソフトは 1,500% 上昇。
何が言いたいかというと、バーゲン価格で販売されている偉大な企業の株式を購入するには、「大きな株式市場の下落時」が絶好の機会だということである。
専門家の市場予測に耳を傾ける必要はない。それは当たるか外れるかのギャンブルに乗じることに等しいからだ。市場ではなく、個別の企業に着目しよう。
P.S.
なお、私が今、最も注目する個別の企業はこちらだ。
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