なぜ、Chat GPTは注目されているのか?
From:イアン・キング
毎年、投資家市場には1つのテーマが登場することを知っているだろうか?
ある年は「電気自動車(EV)」、その次は「暗号資産」。
では今年は何がテーマとなるのだろうか?
それは…
『人工知能(AI)』
2023年はAIの年になる。
実際に、米国最古かつ最大手のプライベートバンクBHHの調査によると、プロの投資家の56%は今年、AIロボティクスに焦点を当てたETFをポートフォリオに追加する予定と言われている。
さらに、AI活用で恩恵を受ける企業への投資を目指すファンド、グローバルX ロボット & AI ETF (BOTZ)には、1億2100万ドルと最も多くの投資が行われた。
そして、このETFは今年に入って120%上昇している。
AIが世間に利用されるものとして一気に広まったきっかけは、昨年末に登場したChat GPT3が大きく影響している。
Caht GPT3の登場により、人工知能はインターネットのように誰でも利用できるものとなった。
さらに最近では、アップデートされたGPT4も出ている。
なぜAIはここまで急速に広まり、進化し続けているのだろうか。
そこには2つの理由がある。
なぜAIは進化をし続けるのか?2つの理由
まず1つ目に、AIとは汎用的な技術である。
具体的にいうと、AIは「蒸気船」や「電気」、「インターネット」と同じものなのだ。
・蒸気船が人や物を遠くまで運べるようにしたことで、様々なものが物理的に繋がった。
・電気は身の回りのものの動力源を電力へと変化させ、普段の生活を便利なものに変えた。
・インターネットは、いつでもどこでも誰とでもコミュニケーションを取ることを可能にした。
これらの汎用的な技術はあらゆる産業に影響を与え、ビジネスの構造自体を変革するものとなりうるのである。
そして2つ目に、AIは予測の精度が高いものであるということだ。
AIは人工知能と呼ばれるものの、本来の意味での知能とは程遠いものである。
実際には、予測を立てることを得意とする「予測マシン」だと言える。
しかしこの優れた予測の精度が、人間の知能を凌駕するようになっているのだ。
ではAIの代表とも言えるChat GPTはどのように進化しているのか。
(ちなみに、Chat GPTのGPTとは「Generative Pre-trained Transformers」であり、”汎用的な技術”を表す「General Purpose Technology」とたまたま同じ頭文字なのは、なんだか面白い偶然だ。)
AI(Chat GPT)は子供が勉強をするのと同じように、学習する必要がある。
例えば、その学習を行わせる場合はこのように行う。
まず、人間がChat GPTに「アメリカの初代大統領は誰ですか」という質問をする。
するとChat GPTは「ドナルド・トランプとジョージ・ワシントンです」のように答える。
そこで人間が、「正しい答えはジョージ・ワシントンだよ」と教えるのだ。
これは人間のフィードバックによる強化学習と呼ばれるもので、とても初歩的なことである。
この受け答えをアルゴリズムとして機能するようにしたことで、正しい答えを返すチャット能力が改善されていく。
そして、この数ヶ月でChat GPTは驚くべき成長を遂げた。
なぜなら、急激に利用者が増えたからである。
今までは、一定の開発者のみがこの強化学習を行い改善されてきた。
しかし今では、全世界に1億人のユーザー、Chat GPTにとっての”教師”がいるのである。
そして、AIは今やChat GPTのようなチャット機能だけでなく、画像や動画、音楽など様々な分野で力を発揮している。
例えば、音声に関してはナレーションからAIが加工を行い、ある人の声を再現できる。
今ではもう聴くことのできない(亡くなった)歌手の歌声も再現することができるのだ。
さらには、映画のキャラクターに好きな格好をさせ、動画を作ることもできる。
これはAIによって作成された、ハリーポッターのキャラクターにファッションブランドであるバレンシアガの服装を着せた動画の一部分である。
出所:demonflyngfox
このようにAIは今までできないと言われていたクリエイティブな活動まで、学習による予測によって行えるようになった。
AIがもたらす社会への影響
ではこれが経済にどのような影響を与えるのか?
ゴールドマンサックスの報告書によると、
「米国や世界のAIへの民間投資は2021年に530億ドルから940億ドルとなり、5年前と比較して実質5倍に増加している」とされている。
そして今後、AIが労働市場に与える影響としては、
・10年間で米国の労働生産性の年間成長率を約1.5%ポイント引き上げる可能性がある
(これは2022年までの10年間、米労働生産性は年間平均1.3%の成長だったことを考えると今の倍の成長となる。)
・世界の年間GDPを7%増加させ、10年間で7兆ドル近く増加させる
・”現在の仕事のおよそ3分の2は、ある程度のAIの自動化にさらされており、次世代AIは現在の仕事の4分の1まで代替できる
そして、労働市場の中でも特にオフィスや事務のサポート、そして法律や建築・エンジニアリング関わる仕事が最も影響を受ける可能性が高い。
この調査によると、結果的に3億人の雇用がAI化によって失われるかもしれないと言われている。
どのような職種であれ、影響を受けることは避けられないだろう。
私たちはこのテクノロジーによる社会の変化に適応していかなければならない。
PS
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