米国が犯した最大の”大罪”?
From:イアン・キング
2兆1,000億ドル(291兆円)
これが何の金額が分かるだろうか?
2023年の米国の国家予算が1兆6,580ドルであるので、
この数字はその1.3倍に相当する。
米国でこの多額の費用が”ある1つの出来事"に使われたのだ。
もしかしたら、検討がついているかもしれない。
それは、”イラク戦争”。
2003年に勃発したイラク戦争は2011年まで8年以上も続き、
50万人もの犠牲者が出るほどの大きな戦争となった。
このように莫大な費用と犠牲者を出しイラク戦争は、
米国が歴史上起こした”大罪”と言っていいかもしれない。
米国に与えるダメージも大きいものだったと言えるだろう。
そして、米国が失ったものは多額のお金と多くの犠牲者だけではない。
実はこの戦争のウラで、ある最先端技術を失っていたのである。
○イラク戦争のウラで失われた最先端技術とは?
時は2009年にさかのぼる。
米国にはかつて”A123システムズ”と呼ばれる企業が存在した。
これは電気自動車(EV)用バッテリーを開発していた企業。
EVバッテリーと言えば、今や世界中の誰もが求める技術と言えるだろう。
なぜなら、EV市場は2027年までに市場規模が1兆4,000億ドル(約194兆円)*にまで拡大すると予測されており、今後大きく伸びる市場だからだ。
そして、このA123システムズは”リン酸リチウムバッテリー(LFP電池)”と呼ばれるEVバッテリーを製造しており、これは今やEVに使用される主流のバッテリーにもなっている。
そして、同社のLFP電池は大手自動車メーカーであるゼネラルモーターズ”や”クライスラー”に使用されるほどの技術力を持っていた。
そのようなこともあり、当時のオバマ政権によって創設された『グリーンエネルギープログラム』により、同社は2億4900万ドルの融資を受けていたのだ。
これがA123システムズの成長を後押し、ついに上場を果たすことになる。
その後、同社は順調に成長していくように見えた…
しかし、2010年にある問題が発生する。
それは、
『米国政府が多額のお金を使いすぎているのではないか?』
という懸念が上がったのだ。
○回ってきたイラク戦争の”つけ”
というのも、2010年はイラク戦争真っ只中。
そして、戦争も激化している状況だった。
そのため、米国政府はできるだけ国の支出を減らす必要があったのだ。
そこで支出削減の対象として目を向けられたのが、”企業への資金援助”。
その企業の一つにはEV業界も含まれており、
EV関連企業へ補助金がストップされてしまったのだ…
これにより政府からA123システムズへの補助金もストップされ、同社は経営破綻。
そして、今後EV事業を伸ばそうとしていた中国企業に、同社は”たった1ドル”で買収されてしまったのだ。
中国は今や世界でEVバッテリー製造のトップを走っている。
米国もそれに追いつこうと、政府がEV用バッテリーのプロジェクトに総額90億ドルを投資しているが、この10年で開いた溝は大きいと言えるだろう…
もし、イラク戦争に費やした多額の費用がなければ、A123システムズは米国で順調に成長していたかもしれない。
そして、米国は世界一のEVバッテリー大国になっていた可能性もあるだろう。
今後、米国政府がこのような”過ち”を二度と起こさないよう、正しい“先見性”と“ビジョン”を持ってくれることを願っている。
そして、あらゆるテクノロジーが米国内でも発展していけるよう、政府がしっかり支援してくれることも期待したい。
イアン・キング
P.S.
イアンさんは最新のテクノロジーを持ち株価上昇が期待できる銘柄を見つけ出すプロ。
今まで25年以上のキャリアを持ち、投資家に大きなリターンをもたらしてきました。
その中にはたった1銘柄で18,325%のリターンをもたらしたものもあります…
そんなイアンさんが