テスラを超えるアップル・カーの存在
From:イアン・キング
Netfilxと同じ収益をあげるアップルの“ある1つ”の製品
私は最先端のテクノロジーを専門に投資分析をしているが、アップル社が最初に発売したiPhoneは持っていなかった。
私は、2007年当時に信頼されていたBlackBerryに釘付けになっていたのだ。
あのキーボード付きの携帯電話は、今ではすっかりレトロに見える。
しかし、当時の金融業界では必須であり、その人のステータスを象徴するデバイスだった。
(加えて、私は携帯電話のゲームに夢中になっていたというのもあるが…)
そんな私がアップルに乗り換えたのは、Blackberryがスマートフォン普及の波に飲まれてしまったときだった。
2023年、私はアメリカで1億1,300万人いるiPhoneユーザーの1人になっている。これはアメリカにあるスマートフォンのほぼ半分にあたる。
もちろん、iPhoneを持ったら、AirPodsは必需品になる。
その後、初めてのアップルウォッチを持つ日もそう遠くはないだろう。もしかしたら、iPadやMacBookも持っているかもしれない。
アップルには、顧客を引き寄せる製品のエコシステムがある。
だからこそ、アップルは歴史上他に類を見ないほどハイテク業界で圧倒的な地位を築いているのだ。
ここでアップルの優位性を整理してみよう。
iPhone、アップル Watch、iPadなどを含むアップルのデバイスは、現在18億台ある。
全世界の4人に1人が使用していることになる。
アップルの成功は数値化するのが難しいほど巨大でユニークなものだが、細分化してみると、驚くような事実が見えてくる。
例えば、これはアップル製品の1つ(AirPods)の収益と、市場で最も大きいハイテク関連製品のいくつかを比較したグラフだ。
見ての通り、AirPodsだけでNetflixとほぼ同等の収益を上げている。NvidiaとAMDの合計よりも価値があって、Uberの2倍にもなる。
この”小さな白いイヤホン”は、230億ドルの売上を占めているが、これは同社の年間総売上高2,740億ドルの10%にも満たないのだ。
ほぼすべてのアップル製品に、同じようなサクセスストーリーがある。
初代Macintoshから、今では懐かしいiPodまで、今日のスマートウォッチからワイヤレスイヤホンまで...
同社は破壊的なテクノロジーを、信頼できるビジネスモデルに変えてきたのである。
そして今、アップルはこれまでで最も破壊的な新製品を発表しようとしている。
アップル・カー発表の秘話
実はこの話。2008年にスティーブ・ジョブズと役員の間で交わされた議論から始まった。しかし、本格的に始まったのは2015年になってからだ。
アップルでは、”タイタン・プロジェクト"と呼ばれている。社外では、シリコンバレーで最も注目されている秘密の一つでもある。
ブルームバーグは「(CEOの)ティム・クックが売る前からアップル・カーは愛されている」と報じた。
テスラのオーナーであるイーロン・マスクは、それを "公表された秘密 “と呼んでいる。彼はBBCでこのように語った。
「1,000人以上のエンジニアを雇ってしまうと、何かを隠すのはかなり難しくなる」
事実、あるエンジニアはプロジェクトから企業秘密を盗んで、それを中国の競合他社に売ったことを認めた。
アップルがタイタンを秘密にしておこうとしたとはいえ、ネット上にはまだたくさんの情報が残っている。
例えば同社のカリフォルニア本社の近くで目撃された、奇妙な車がある。
カメラを搭載したこれらのテスト車両は、最終的にクパチーノ周辺の道路で60台以上目撃された。
その後、アップルはサムスン、A123システムズ、テスラのような会社からエンジニアを数百人集めていたということがニュースになった。同社はランボルギーニのデザイナー、ルイージ・タラボレッリまで雇ったのだ。
それに、同社には特許があった。アップルは2000年以降、248件の自動車関連特許を申請している。
これらのことから、アップルが自動車を開発しているかもしれないと思った人は、たくさんいたのだ。
このアイデアは最初こそ、とてつもない壮大なプロジェクトのように聞こえるかもしれない。しかし、それは完全に理にかなっていた。
元アップル副社長のアンソニー(トニー)・ファデルは、最初の話し合いでスティーブ・ジョブズにこう言ったそうだ。
「車にはバッテリーがある。そしてコンピューターがある。さらにモーターがあり、機械的な構造がある。自動車にはバッテリーがあり、コンピュータがあり、モーターがあり、機械的な構造がある。iPhoneを見てほしい。すべて同じようなものが備わっているじゃないか」
ファデルのその言葉は正しかった。今日の車は、テクノロジーへの依存度がますます高まっている。
平均的な自動車は、ボンネットの下に1,000個のコンピューターチップを搭載している。
電気自動車(EV)の場合、電源システムを管理するためにその2倍のチップが必要になる。自動運転機能をフル装備したEVでは、最大3,000個が必要になるかもしれない。
アップルには、このような複雑な技術を、信頼性が高く、魅力的で使い勝手の良いものにするノウハウがあるわけだ。
ジョブズはこのアイデアを気に入っていたが、タイミングが合わなかったため、プロジェクトを進めることはなかったのだ。それは2008年、自動車業界が苦しい状況にあったときのことだった。
しかし、EVブームがアップルに新たな扉を開いた。新しいCEOであるティム・クックの下でタイタン・プロジェクトとして復活したのだ。
現時点では2026年の発売に向けてプロジェクトが進行している。
とはいえ、早ければ今年中に先行公開されるかもしれない。
では、アップルは何を発表するのか?
アップル・カーの詳細はまだ決まっておらず、ほとんどが噂話でしかない。
とはいえ私たちは、いくつかのイメージ画像を見ることができる(これは私のお気に入りだ)。
しかし、公式なデザインはまだ見ていない。
EVであることは予想されるが、BMW、テスラ、フォードなどの自動車メーカーがすでに採用しているCCS(Combined Charging System)を使うかもしれないし、使わないかもしれない。
アップルのアナリストであるミンチー・クオ氏は、この車が「非常に高級なモデル」になると予想している。他の高級車や高性能EVと競合することになりそうだ。
ブルームバーグは、アップルのチームがハンドルやペダルのない車についても議論していると報じた。
一方でCEOのティム・クックは2017年当時、自動運転技術が優先事項であると確認している。
実際、「我々は(自律的な)システムに焦点を当てている。これは我々が非常に重要視しているコアな技術だ」と発言している。
しかし、これは5年前のこと。このような大きなプロジェクトは、時間とともに進化し、変わっていく。
しかし、一つだけ確かなことがある。
それはアップル・カーが発売されることになれば、たちまち「世界で最も欲しい車」になるということだ。
私は10年後には、すべての新車が電気自動車になると考えている。そしてアップルのEVは、あなたが思っているよりも早く、私たちをその世界に連れていってくれるはずだ。
アップルのEVは驚くほど普及するかもしれない…
20万人以上のドライバーを対象にした最近の調査では、26%がアップル・カーの購入を「ぜひ検討したい」と回答している。EVドライバーの場合、この数字はさらに高くなる。
しかもテスラのオーナーの半数は、乗り換えを検討すると答えている。
アップルは高品質であることがすでに認知されているため、その点でもテスラに勝っており、約2倍のポイントを獲得しているのだ。
つまり、アップルカーはすでにテスラよりも人気があるということだ。まだ存在していないにも関わらず…
私の友人であり同僚でもあるアンバー・ランカスターもそのうちの一人だ。彼女は喜んで「アップル・カーに乗り換える」と言っている。
アップルには、多くの企業が夢見るようなファンがたくさんいる。
そして、その評判は十分に高いものだ。
1984年、アップルはMacintoshでホームコンピューティングに革命を起こした。多くのアメリカ人がコンピューターのマウスを初めて目にしたのも、このときだった。
そして2001年、iPodは「1,000曲をポケットに入れる」ことができるようにした。使いやすく、充電式のこの製品は、毎年5,000万台以上の販売するまでになったのだ。
2007年に発売したiPhoneも同様。だがそれは”最初”ではなかった。
指の静電気を利用した静電容量式のタッチパネル携帯電話、LG Pradaが最初だった。
しかし、これまでのアップルの成功例と同じように、iPhoneは最初にその突破口を開き、誰もが使う製品になったのだ。
これこそ、アップルが成功した秘訣である。
同社は、一番乗りを目指して、急いで製品を市場に出すようなことはしない。消費者が絶対に手に入れなければならないデバイスを、丁寧に作り上げているのだ。
アップルのエンジニアは、常に「Think different」をモットーに、まったく新しいものを生み出している。
これはスティーブ・ジョブズの言葉だ。
そしてヘンリー・フォードはかつて、「もし私が何が欲しいかと聞いていたとしたら、人々は『もっと速い馬』と答えただろう」と言った。
これは、顧客に聞いても、顧客の要望はわからないということだ。この考え方は、現在でも会社の原動力となっている。
EV市場で生まれる4,000%(またはそれ以上)の利益
2007年末にiPhoneが発売されて以来、株価は2022年初には4,000%以上上昇した。1万ドルを投資していれば、それは40万ドルになっている。
アップルの株価がこのような上昇を繰り返すということを言っているわけではない。私たちはより大きな市場の話をしている。
スマートフォンの世界市場はまだ4,000億ドル未満。そして、自動車市場は3兆ドル近い規模だ。つまり7倍以上。
アップルが全く新しい業界を支配するというのは、想像しにくいかもしれない。
しかし、発売前のほとんどのアップル製品についても同じことが言える。
iPhoneが発売された当時、元マイクロソフトのCEOスティーブ・バルマーはこう言った。
「iPhoneが大きなシェアを獲得する可能性はゼロに等しい。ノーチャンスだ」と。
今日、iPhoneはアメリカにあるスマートフォンのおよそ半分を占めている。
Wired誌がiPadを「巨大なiPhoneに過ぎない」と評したのは有名な話だ。しかしアップルは大量のiPadを出荷している。
そして今年5月、AutoBlogは「アップルが”icar“を作るべきではない理由」という記事を掲載した。
彼らは正しいかもしれないし、アップルは車を作るべきではないのかもしれない。
しかし、同社の実績を考えると、それに逆らって賭けることはほとんど意味がない。
では、私たち投資家は、どのようにしてこの状況を利用すればいいのか?
アップルのPER(株価収益率)は現在25倍前後であり、かなり高い。
つまり、去年からのような下落相場でも、決して株価は割安になっていない。
アップルの株を直接狙うのではなく、最高のチャンスは「ボンネットの中」(アップル・カーにボンネットがあると仮定すればの話だが)で見つかるだろう。
つまり、アップル・カーを走らせるためのマイクロチップ、バッテリー、サブシステムのことだ。
これらの部品の多くは、中小企業から調達されることになり、爆発的な収益になる可能性がある。
アップルとの提携後、いくつかの中小ハイテク企業がどうなったかを見てみよう。これらの企業に1万ドルずつ投資すれば、どれだけの利益が得られたかを示すグラフがある。
このような企業に投資していれば、アップルが車を発売するのを待つ必要はない。自動運転技術に関する次の新しい技術が開発される必要もないのだ。
さて…
数年後には発売されるかもしれないアップル・カー。私も楽しみに動きをチェックしていきたい。
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P.P.S
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