AIで“ニッチな分野”を攻める2つの企業
From:イアン・キング
「スーパーマン」はAIの予兆?
私が8歳だったとき、よく読んだコミックがあった。
「スーパーマン」という作品だ。
これは、その名の通りヒーローであるスーパーマンが悪役と戦うストーリー。
その作品の中で、特に私が印象に残っているのは悪役が作り出した巨大コンピューターだった。
そのコンピューターは、人間によって作り出された後自分自身が意思を持つようになり、世界を征服することを決めたのだ。
この巨大コンピューターの登場は何百人ものアメリカ人にAI(人工知能)を周知させる大きなきっかけとなった。
当時は1980年代のことだったので、AIはまだまだ空想の世界。
ただ、今はどうだろうか?
日常に溶け込むAI
ネットで何かを検索していると、画面に自分の興味がありそうな広告が出てくる。
あるいは、YouTubeで動画を見ていると、次々に自分の興味のある関連動画が出てくるのではないだろうか。
これは、AIが発達したことで可能になったこと。
数十年前は空想の世界だったAIも今や私たちの日常に溶け混んでいる例と言えるだろう。
そして、AIやコンピューターは金融の世界でも利用されている。
実際、コンピューターを利用した取引は、株式市場の1日あたりの取引の60%〜75%を占めていると言われている。
そして、2024年までに、世界のアルゴリズムを使った取引は188億ドルになると予測されているのだ。
また、世界中でAI技術はこのように注目されている。
●タイムズ・オブ・ロンドンは、このブレークスルーを「一世代に一度の進歩」と呼んでいる。
●米国の実業家マーク・キューバンはこの傾向が「世界初の億万長者」を生み出す可能性があると考えている。
●あるウォール街のヘッジファンドは、この機会は「初期段階のテスラを越えるものだ」と考えている。
このように、世界中で注目され今後、大きく市場も伸びることが予想されるAI。
そんなAIを使って、ニッチな分野で新たな開発を行う企業があるのだ。
AIを使って“ニッチな分野”を開拓する企業
その企業は2社ある。
①リレー・セラピューティクス (Nasdaq: RLAY)
この企業は米国の製薬企業。
主にがんを対象とする治療薬の研究・開発を行なっている。
同社が開発するDynamoプラットフォーム*はAIを使用してタンパク質の動きを予測。
*プラットフォーム…共通の土台となる標準的な環境。プラットフォームがあることで、新薬開発を効率的に行うことができる。
これは新薬を開発する際に、最適な選択をするために役立つ。
そして、リレーの新薬は競合が開発する治療薬の2倍の効果があることがわかっているのだ。
昨年には、新薬開発の試験において予想を上回る結果が出たことから、同社の株価が38%上昇したこともあった。
そして、この企業には日本のソフトバンクも投資をしており、同社の4分の1の株式をソフトバンクが所有している。
*2022年9月時点
それだけ、注目されているということだ。
がん治療の新薬が開発されれば、世界中の患者を救うことはもちろん、投資家にとっても大きなチャンスになると言えるだろう。
②シュレーディンガー (Nasdaq: SDGR)
2つ目に紹介する企業は、リレー同様、新薬を開発する企業。
同社もAIを使ったプラットフォームを利用して、
新薬の開発を行なっている。
同社のプラットフォームで開発された2つのがん治療薬は既にFDA(アメリカ食品医薬品局)によって承認をされている。
そして、世界中の20にも及ぶ製薬会社はシュレーディンガーのプラットフォームを利用して次の新たな新薬発見に取り組んでいるのだ。
このように、世界中の製薬会社に注目されるシュレーディンガーだが、世界中の実業家、投資家にも注目をされている。
世界中の実業家、投資家からも注目される技術
ビル&メリンダゲイツ財団は同社の株を22.68%所有している。
そして、アメリカの資産運用会社であるARK Investは同社の株を4.15%保有している。
それだけではない…
●米国最大の資産運用会社であるバンガードは同社の株を6.95%を所有。
●同じく、米国最大の資産運用会社であるブラック・ロックは同社の株を5.22%を所有。
●クレディ・スイスは同社の株を3.12%所有。
*2022年9月時点
このように、世界中の投資家からも注目されているのだ。
数十年前まで“空想の世界”だったAIも
今や私たちの日常に溶け込むだけでなく、
新薬開発に利用されることで、
世界中の命を救う救世主になるかもしれない。
今後、AIのトレンドは益々、
大きくなっていくことが予測される。
そして、AIを使った新たなイノベーションを生み出す企業は
株式市場からも注目され、
私たち投資家にとってもチャンスになるだろう。
そのため、今後も引き続きこのトレンドを
見続けていきたい。
イアン・キング
P.S.
著者、イアン・キングの詳細はこちらでお伝えしている。